仏・伊・独の複合過去(être支配を例に)

フランス語を勉強していると過去形の形成で複合過去を学習する。

 

être +過去分詞かavoir+過去分詞か。

 

この2択を迫られる。

 

この2択を迫られ、どっちを選ぶか?を、どっちに支配されるかという意味で、être 支配かavoir 支配かという言い方をよくする。ある意味、業界用語にも近い慣用的な言い方をここでも採用する。

 

今回はêtre 支配だけを特集してみる。

 

être 支配で複合過去を形成する動詞の種類が限られている。なんだかんだ、どれでも、 être 支配ではない。この点に要注意。

 

原則では、発着・往来・移動を表す動詞はêtre支配で複合過去を作る。とおぼえて置く必要あり。

 

例えば、aller (行く)は、移動の動詞だから、être支配。mouriir (死ぬ)も、この世からあの世の移動か?!はたまた、生まれる(naître)もこの世への誕生(広義での移動)と判断され、être支配となる。

 

この大原則を押さえていた上でaller(行く)の複合過去を作ってみる。

Je suis allé. (allerの過去分詞はallé)  

 

発音はジュスイザレとなる。

 

これは男性が発言した場合。

 

女性の発言だとしたら発音は変わらないけれど、間違い探しにも似た一文字が加わる。

 

Je suis allée. 

 

eが余計に多くつく。

 

イタリア語も同じような複合過去の仕組みを持つが、語尾の音色が違うので区別しやすい。

 

フランス語で言うところのJe suis alléは Sono andato. 

 

これが女性だったら、Je suis allée は Sono andata. 

 

過去分詞部分の母音の音色がoとaで対立しているから、男性の発言なのか女性の発言なのかは判断できる。

 

複合過去が作れるようになるためには発着・往来・移動の動詞はもとより、その過去分詞もセットで覚えておいた方がいい。

 

例えば、allerの反対のvenir (来る)

 

Je suis venu.  (男性の発言)

Je suis venue. (女性の発言。venuもvenue もヴニュで発音は変わらない。)

 

イタリア語だとvenire(来る)の過去形は

 

Je suis venu. =  Sono venuto. 

Je suis venue. = Sono venuta. 

 

このようになる。

 

過去形の過去分詞で性数一致を求めている伊・仏に対して、ドイツ語はêtre支配かavoir支配かの区別(sein支配かhaben支配)はあるものの、過去分詞の性数一致がないから面白い。

 

Ich bin gegangen. は

Je suis allé. Je suis allée. Sono andato. Sono andata. のいずれかにあたる。

 

こうして比較して西洋諸語を見ていると似ていて非なる特徴が浮かびあがる。またこの差を意識していてこそ包括的に諸言語を絡め取れる軸となる。

 

 

 

 

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